これまでの主な改正(平成16年〜令和6年)
標準管理規約の始まりは、昭和57年(1982年)5月に建設省が都道府県などに通達した「中高層共同住宅標準管理規約」とそのコメントです。昭和55年の住宅宅地審議会の答申が、標準となる規約を作って分譲業者や管理業者を指導するよう求めたのがきっかけでした。昭和58年10月には、同年5月の区分所有法改正に合わせて改訂され、占有者に関する規定、共用部分等の変更の要件の緩和、建替え決議などが加わりました。平成9年2月の改正では、長期修繕計画の作成を管理組合の業務に位置づけ、駐車場の使用や専有部分のリフォームなど使い方の規定を足し、団地型と複合用途型の規約も新しく作っています。
平成16年(2004年)1月の改正で、名前が「マンション標準管理規約」に変わりました。平成13年施行のマンション管理適正化法、平成14年施行のマンション建替え円滑化法、区分所有法の改正を受けたもので、名称とあわせて規約の位置づけも改めています。中身では、専門的知識を有する者の活用の規定を新しく設け、建替えに関する規定、決議要件や電子化の規定を整えました。管理組合の業務には、設計図書の管理、修繕等の履歴情報の整理と管理、コミュニティ形成が加わり、未納管理費の請求の規定も厚くなっています。
平成23年(2011年)7月27日の改正は、役員のなり手不足と総会の運営が中心です。役員の資格からマンションに住んでいることという要件(現住要件)を外し、理事と監事は「組合員のうちから、総会で選任する」形にしました。理事会の決議事項をはっきりさせ、新年度予算が通るまでの経常的な支出を理事会の承認で行える手続きも置いています。総会については、本人が賛否を書く議決権行使書が望ましいこと、白紙委任状が多用されないよう代理人は本人が主体的に決めることなどをコメントに書きました。外部の専門家を使う管理方式は、このときは見送られています。
平成28年(2016年)3月14日の改正は、「マンションの管理の適正化に関する指針」の改正と同時に行われました。見送られていた外部専門家の活用について、理事・監事や理事長に専門家が入る型、専門家を管理者にして理事会が監督する型、総会が監督する型の三つを示し、役員の組合員要件を外せば一つめの型をとれるようにしました。管理費の使い道から「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」を外したのもこのときです。自治会費を管理費と一緒に集めるなど、管理組合と自治会の混同によるトラブルがあったことが理由に挙げられています。ほかに、暴力団員への貸与を禁じる規定例、災害時に理事長が単独で保存行為をできる規定、役員の利益相反取引の防止、滞納への措置や情報開示の規定が整えられました。
平成29年(2017年)8月29日の改正は、住宅宿泊事業法の成立を受けたもので、専有部分の用途を定める第12条に、民泊を認める場合と禁止する場合の両方の規定例を示しました。令和3年(2021年)6月22日の改正では、ITを使った総会・理事会ができることをはっきりさせ、「WEB会議システム等」の定義を第2条に加えています。国土交通省は、この点は自分のマンションの規約を変えなくてもIT総会は開けると説明しています。あわせて、感染症が広がるおそれが高いときの共用施設の使用停止や総会の延期、置き配のルールを使用細則で決めること、共用部分と専有部分の配管を一体で工事するときの修繕積立金の扱いがコメントに入り、管理計画認定の申請が総会の議決事項に加わりました。
令和6年(2024年)6月7日の改正は、建物の高経年化と住む人の高齢化という「二つの老い」への対応がねらいです。組合員が住所などを変えたときの届出、部屋を人に貸すときの借り手の情報の届出、組合員名簿の更新と居住者名簿の作成・更新が書き込まれました。所在がわからない区分所有者を探した費用をその人に請求できる規定も入っています。修繕積立金では、長期修繕計画上の積立予定額と今の積立額の差や、今後の変更予定を総会で示すことをコメントに書きました。総会・理事会の資料の保管、EV用充電設備や宅配ボックスを設置するときの決議要件の考え方も示されています。ここで挙げた条番号は改正当時のもので、令和7年10月の改正(令和7年10月の改正のポイントの記事)で番号や中身が変わった箇所もあります。標準管理規約はひな形なので、自分のマンションの規約がどの年の版をもとにしているかを確かめておくと、見直しの手がかりになります。
- 出発点:昭和57年5月「中高層共同住宅標準管理規約」を通達。平成9年に長期修繕計画の作成を業務に、団地型・複合用途型を追加(国土交通省 策定及び改正の経緯)
- 平成16年1月:名称を「マンション標準管理規約」に。専門家活用、建替え、電子化、コミュニティ形成などを整備
- 平成23年7月:役員の現住要件を撤廃、理事会の決議事項を明確化、議決権行使書・委任状の扱いを整理
- 平成28年3月:外部専門家の3つの型、コミュニティ条項の再整理、暴力団員への貸与禁止の規定例(第19条の2)、利益相反取引の防止(第37条の2)
- 平成29年8月・令和3年6月:民泊の規定例(第12条)、WEB会議システム等の定義(第2条)、置き配は使用細則で(第18条関係コメント)
- 令和6年6月:居住者名簿の作成・更新(当時の第64条の2)、所在等不明区分所有者の探索費用の請求(当時の第67条の2)、修繕積立金の変更予定の見える化(第48条関係コメント)
出典:国土交通省 マンション標準管理規約の策定及び改正の経緯について(旧:中高層共同住宅標準管理規約)/国土交通省 報道発表資料「マンション標準管理規約の改正について」(平成23年7月27日)/国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメントの改正点(平成28年改正)/国土交通省 報道発表資料「住宅宿泊事業に伴う『マンション標準管理規約』の改正について」(平成29年8月29日)/国土交通省「マンション標準管理規約」の改正について(概要)(令和3年6月22日)/国土交通省「マンション標準管理規約」の改正について(令和6年6月7日)