泉州しらべver0.91

標準管理規約

管理組合の法人化(管理組合法人の要件と変わること)

区分所有法第3条は、区分所有者は全員で建物と敷地、附属施設の管理を行うための団体を構成すると定めています。この団体は、そのままでは法人格(団体の名前で権利を持ち義務を負う資格)を持ちません。標準管理規約(単棟型)第6条はこの団体を「○○マンション管理組合」とし、コメント第6条関係は、区分所有者が2名以上の管理組合は法人になれるが、この規約では法人にしておらず、権利能力なき社団(法人格はないが団体として扱われる組織)であると説明しています。コメント全般関係②も、管理組合を法人とする場合は「別途考慮するものとする」と書くだけです。本文にもコメントにも、法人化したときの読み替えや規定例は見当たりません。法人にする場合、規約を法人向けに整える作業は各管理組合が自分で行うことになります。

法人になるための手続は第47条第1項にあります。集会(総会)で、区分所有者(議決権を持たない人を除く)の過半数で、議決権の過半数を持つ人が出席し、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上の賛成で、法人になること、名称、事務所を決めます。そのうえで主たる事務所の所在地で登記をしたときに、法人になります。決議だけでは法人にならず、登記まで済ませて初めて成立する仕組みです。出席の割合と賛成の割合は、規約でこれより高く定めることもできます。令和8年4月1日施行の条文では、規約の変更(第31条第1項)と同じ形の決議です。名称には「管理組合法人」という文字を使わなければならず、法人でない団体はこの文字を使えません(第48条)。登記に必要な事項は政令で定められ、登記すべき事項は登記した後でなければ第三者に主張できません(第47条第3項・第4項)。法人になる前の集会の決議、規約、管理者が職務の範囲内でした行為は、そのまま法人に効力が及びます(同条第5項)。

法人になると、役員の形が法律で決まります。区分所有法の管理者の節(第四節)は管理組合法人には適用されず(第47条第11項)、集会の招集などの規定にある「管理者」は「理事」と読み替えられます(同条第12項)。標準管理規約は理事長を区分所有法上の管理者としていますが(第38条第2項)、法人ではこの書き方が合わなくなります。管理組合法人は理事を必ず置き、理事は法人を代表します。理事が何人もいれば各自が代表しますが、規約や集会の決議で代表する理事を決めることも、規約にもとづき理事の互選で決めることもできます(第49条第1項・第3項〜第5項)。理事の任期は2年で、規約で3年以内の別の期間にもできます(同条第6項)。理事が欠けて事務が遅れ、損害が出るおそれがあるときは、利害関係人などの請求で裁判所が仮理事を選びます(第49条の4)。監事も必ず置き、理事との兼任はできません(第50条)。監事の職務は「監事の職務と権限」の記事で扱っています。

事務の決め方にも決まりがあります。第52条第1項によると、管理組合法人の事務は、法律に定めるもののほか、すべて集会の決議で行います。ただし、法律が特別の定数を定めている事項と、共同の利益に反する行為の停止などを求める訴えの提起(第57条第2項)を除けば、規約で理事やその他の役員が決めるとすることができます。保存行為(建物の現状を保つための行為)は理事が決められます(同条第2項)。標準管理規約は理事会に多くの事項を決めさせているので(第54条)、法人化した後もこの運営を続けるなら、それを認める定めが規約にあるかを確かめることになります。法人は、設立の時と毎年1月から3月までの間(事業年度を設けるなら毎事業年度の終わり)に財産目録を作って主たる事務所に置き、区分所有者名簿を備えて、区分所有者が替わるたびに直します(第48条の2)。

財産と対外的な関係では、法人そのものが当事者になります。管理組合法人は、その事務(保険金や損害賠償金などの請求と受領を含む)について区分所有者を代理し、規約か集会の決議があれば、区分所有者のために原告や被告になれます(第47条第6項・第8項)。法人でない管理組合では、管理者(標準管理規約では理事長)がこの役目を受け持ちます(第26条第2項・第4項)。管理に必要な場合、管理組合法人は、第47条第1項と同じ割合の集会の決議で、その建物の区分所有権や、建物と一体で管理や使用をすべき土地を取得できます(第52条の2第1項)。取得した区分所有権について、法人は集会の議決権を持ちません(同条第2項)。税金の面では、法人税の法令では公益法人等とみなされ、消費税の法令では消費税法別表第三の法人とみなされます(第47条第13項・第14項)。具体的な課税の扱いは、この記事の出典では確かめていません。

法人になれば区分所有者は組合の借金と無関係になる、と考えるのは誤りです。第53条第1項は、管理組合法人の財産で債務を払いきれないとき、区分所有者は第14条の割合(原則として専有部分の床面積の割合)で弁済の責任を負うと定めています。規約で管理の経費の負担割合を決めていれば、その割合によります。法人の財産への強制執行がうまくいかなかったときも同じですが、法人に支払う力があり、執行も容易であることを区分所有者が証明すれば、この場合の責任は負いません(同条第2項・第3項)。部屋を買った人(特定承継人)も、買う前に生じた法人の債務について同じ責任を負います(第54条)。法人でない管理組合でも、管理者が職務の範囲内で第三者とした行為について、区分所有者は第14条の割合で責任を負い、その債権は特定承継人にも請求できます(第29条)。法人化で変わるのは、まず法人の財産から払い、足りないときに区分所有者が責任を負うという順序が条文で決まる点です。

法人は、建物の全部の滅失、専有部分がなくなったとき、集会の決議で解散します。解散の決議は、法人になる決議と同じ定足数と各4分の3以上の賛成で行います(第55条)。解散した後は清算の範囲内でなお存続するものとみなされ、規約に別の定めがあるか集会で別の人を選んだ場合を除いて、理事が清算人になります(第55条の2・第55条の3)。残った財産は、規約に別の定めがなければ第14条の割合で各区分所有者に帰属し、解散と清算は裁判所の監督を受けます(第56条・第56条の2)。法人化を検討するときは、名称、事務所、代表する理事の決め方、理事会に決めさせる事項の根拠、役員の任期、理事長を管理者とする条文など、規約のどこを書き換えるかを洗い出し、規約の変更と法人化の決議を総会にかけることになります。登記の手続や費用、税務の扱いはこの記事の出典では確かめられないので、司法書士や税理士などの専門家に相談してください。各マンションの規約は標準管理規約と違うことがあるので、自分の規約の該当条もあわせて確かめてください。

出典:国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント(令和7年10月17日改正。第6条、第38条、全般関係②、第6条関係)/e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律(令和8年4月1日施行版。第3条、第14条、第26条、第29条、第47条〜第56条の7)

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