泉州しらべver0.91

標準管理規約

管理組合の業務と管理会社への委託

標準管理規約の第32条は、管理組合の業務を15の号に分けて並べています。共用部分などの保安、清掃、ごみ処理、修繕といった建物の世話のほかに、長期修繕計画の作成と変更、設計図書や修繕の履歴情報の管理、損害保険の手続、修繕積立金の運用、役所や町内会との渉外、防災や居住環境の維持、広報と連絡、マンション再生などに向けた調査、管理組合がなくなるときの残余財産の清算までが入っています。本文の冒頭には、これらが建物と敷地、附属施設の管理のための業務であることが書かれています。コメントによると、平成28年の改正で「コミュニティ形成」の号を削り、この目的を加えました。自治会の活動との混同から管理費の使い道をめぐる争いが起きていたためで、美化や清掃、防災・防犯の活動は、この管理の範囲で行う限り管理組合の仕事にできる、と整理されています。

この列挙には、書類を残す仕事も含まれます。コメントによると、管理組合が持っておくべき設計図書は、マンション管理適正化法(以下「適正化法」)第103条により分譲業者から渡される竣工時の図面類です。ただし、平成13年8月1日の同法施行より前に工事が終わった建物では、渡されていない場合があります。修繕等の履歴情報とは、大規模修繕の時期や費用、施工者、法定点検の報告、耐震診断の結果などを指します。長期修繕計画書と設計図書、履歴情報の保管と閲覧は、第64条第2項により理事長の責任で行います。防災の業務としては、防災マニュアルの作成や訓練、備蓄などが例に挙がっており、別の防災組織に任せる方法もあるとされています。

これらの業務は、理事が自分の手ですべて行う必要はありません。第33条は、第32条の業務の全部または一部を、マンション管理業者などの第三者に委託したり請け負わせたりして執行できると定めています。マンション管理業者とは、国の登録を受けてマンション管理業を営む者のことです(適正化法第2条第八号)。業務を担うのは管理組合で、委託はその執行のしかたの一つ、という書き方になっています。第33条のコメントは、第三者に委託する場合は国土交通省の「マンション標準管理委託契約書」によるとしています。この契約書のひな形は、管理事務を事務管理業務、管理員業務、清掃業務、建物・設備等管理業務の四つに分けています。事務管理業務には、適正化法が「基幹事務」と呼ぶ、会計の収入と支出の調定・出納、共用部分の維持や修繕の企画・実施の調整が含まれます(適正化法第2条第六号)。警備業務や防火管理者の業務は管理事務に入らないため、別の契約にすることが望ましいとされています。

管理会社が受けた仕事をさらに別の会社に回す再委託にも決まりがあります。適正化法第74条は、基幹事務を一括して他人に委託することを禁じています。標準管理委託契約書の第4条はこれを受けて、事務管理業務は一部だけ、管理員業務・清掃業務・建物・設備等管理業務は全部または一部を再委託できるとし、再委託した事務についても管理会社が管理組合に対して責任を負うと定めています。コメントでは、再委託先の名前がわかった時点で管理組合に知らせることが望ましいとされています。契約の前に、どの業務を誰が実際に行うのかを確かめておくと、後で問い合わせ先に迷わずに済みます。

管理委託契約を結ぶことは、標準管理規約では総会で決める事項です(第48条第十七号)。管理会社に払う委託業務費は管理費から出します(第27条第八号)。契約の前には、管理会社の側に説明の義務があります。適正化法第72条によると、新しく契約を結ぶときは、管理会社が説明会を開き、管理業務主任者(国の資格を持つ管理会社の担当者)が重要事項を説明します。その1週間前までに、区分所有者全員と管理者(標準管理規約では理事長)に、重要事項と説明会の日時・場所を書いた書面を渡さなければなりません。同じ条件で更新するときは、区分所有者全員への書面の交付と、管理者への説明で足ります。契約が成立したら、管理会社は、対象の部分、業務の内容、費用と支払方法、再委託、契約期間、更新と解除の定めなどを書いた書面を交付します(第73条)。標準管理委託契約書は、この書面を作るときの指針として作られています。

契約が始まってからは、報告と契約期間の管理が理事会の仕事になります。適正化法第77条は、管理会社に、管理業務主任者による定期の報告を義務づけています。標準管理委託契約書の第10条では、事業年度の終了後に、その年度の管理事務の処理状況と会計の収支の結果を書面にして報告するほか、毎月末までに前月の収支状況の書面を渡し、管理組合が求めればいつでも報告することになっています。修繕積立金などの財産は、管理会社自身の財産や他の管理組合の財産と分けて管理しなければなりません(適正化法第76条)。契約の有効期間は、会計期間や総会の時期を考えて決めます(同契約書第22条)。更新するときは満了の3か月前までに書面で申し出ます(第23条)。これは更新前に重要事項の説明が必要なためで、話し合いがまとまらないときは同じ条件の暫定契約を結べます。また、どちらからでも3か月前までに書面で申し入れれば契約を終えられ(第21条)、管理会社は終了までに引継ぎを行います(第23条第4項)。

第33条が業務の執行を任せる規定であるのに対し、第34条は相談の根拠です。管理組合は、マンション管理士その他の専門家に、管理組合の運営やマンションの管理について相談し、助言や指導などの援助を求めることができます。マンション管理士は、国の登録を受けて管理組合などの相談に応じ、助言や指導を行う者です(適正化法第2条第五号)。コメントは、相談相手として弁護士、司法書士、建築士、行政書士、公認会計士、税理士などの国家資格者や、区分所有管理士、マンションリフォームマネジャーといった民間資格者を挙げています。頼む内容の例は、規約改正の原案づくり、合意形成の調整、建物や設備の劣化診断、安全性診断の必要性についての助言や診断項目の整理です。その費用も管理費から出せます(第27条第九号)。専門家を役員に選ぶ方法は「役員の選任・資格と外部専門家」の記事で扱っています。

出典:国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)・同コメント(令和7年10月17日改正)/e-Gov法令検索 マンションの管理の適正化の推進に関する法律/国土交通省 マンション標準管理委託契約書及び同コメント(令和7年12月12日改正)/国土交通省 「マンション標準管理者事務委託契約書」「マンション標準管理委託契約書」等の策定・改正(令和7年12月12日)/国土交通省 法律・施行規則・標準管理委託契約書改訂(掲載ページ)

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