泉州しらべver0.91

標準管理規約

規約の設定・変更・廃止の手続(特別決議・特別の影響・原本の保管)

規約は、マンションの使い方や管理のルールを区分所有者どうしで決めた約束事です。決めた後に変えたくなる場面は必ず来ますから、変更の手続と、変えた後の規約をどう残すかを押さえておく必要があります。区分所有法は、規約の中身の範囲を第30条、設定・変更・廃止の決議を第31条、公正証書による設定を第32条、保管と閲覧を第33条で定めています。標準管理規約(単棟型、令和7年10月17日改正)は、決議の要件を第47条、総会の決議事項を第48条、規約原本の保管を第72条に置いています。この記事は、規約そのものを変える手続と保管に絞って整理します。

何を規約で決められるかは、区分所有法第30条が定めています。建物、敷地、附属施設の管理や使用に関する区分所有者相互間の事項は、法律に定めがあるもののほか、規約で定めることができます(第1項)。その際は、専有部分や共用部分の形状、面積、位置関係、使用目的、利用状況、区分所有者が支払った対価などを総合的に考えて、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければなりません(第3項)。また、区分所有者以外の人の権利は、規約で害することができません(第4項)。規約は書面または電磁的記録(電子的な記録)で作らなければなりません(第5項)。

規約を設定、変更、廃止する決議の要件は、区分所有法第31条第1項にあります。集会(総会)に、区分所有者の過半数で議決権の過半数を持つ人が出席し、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上が賛成することが必要です。標準管理規約も第47条第3項第一号で、規約の制定、変更、廃止を同じ要件の特別決議にしています。コメントによれば、令和7年の区分所有法改正で、特別多数決議は出席者を基準に決められるようになり、その代わりに、組合員総数と議決権総数の各過半数の出席という定足数が設けられました(第47条関係④)。書面、電磁的方法、代理人で議決権を行使した人は、出席した組合員に数えます(第47条第7項)。なお、総会では、あらかじめ通知した議題についてしか決議できません(第47条第12項)。変更の議案は、招集通知の段階で入れておく必要があります。

一般の決議事項との違いも確かめておきます。標準管理規約の第48条第一号は、規約と使用細則等の制定、変更、廃止を、どちらも総会の決議事項に挙げています。ところが、特別決議の対象として第47条第3項に並ぶのは、規約の制定、変更、廃止です。使用細則等は第3項に挙がっていないので、標準管理規約の書き方では、出席組合員の議決権の過半数で決まる普通決議(第47条第2項)で足りることになります。ペットや駐車場のルールのように、規約と細則のどちらに書くかで決議の重さが変わります。コメントは、専有部分の使用に関する基本的な事項は規約で定めるべき事項だとしています(第18条関係①)。

一部の人にだけ重い負担が及ぶ変更には、さらに別の歯止めがあります。区分所有法第31条第1項後段は、規約の設定、変更、廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その人の承諾を得なければならないと定めています。標準管理規約の第47条第9項も同じ内容で、そのうえで、承諾を求められた組合員は正当な理由がなければ拒否してはならないと付け加えています。何が特別の影響にあたるかは、条文に基準が書かれていません。たとえば、一部の区分所有者だけが使っている専用使用部分の使用料を、その人たちにだけ大幅に上げる変更が、承諾を要する場合の候補になります(これは筆者の仮の例で、規約やコメントに挙がっているものではありません)。実際にあたるかどうかは個別の事情で決まるので、迷うときは専門家に確かめてください。一部の区分所有者のみの共用部分(一部共用部分)に関する全員の規約は、その区分所有者の4分の1を超える人か、議決権の4分の1を超える人が反対すると変更できません(法第31条第2項)。

規約を新しく設定する場合の特別な方法が、区分所有法第32条の公正証書による設定です。最初に建物の専有部分の全部を所有する人(分譲前の売主など)は、公正証書で、規約共用部分(第4条第2項)、規約敷地(第5条第1項)、敷地利用権と専有部分の分離処分を認める定め(第22条第1項ただし書、第2項ただし書)を設定できます。つまり、すべての内容を公正証書で設定できるわけではなく、条文が挙げた事項に限られます。標準管理規約のコメントは、公正証書による規約が別にある場合は、管理組合の規約と一覧性を持たせることが望ましいと述べています(全般関係④)。

変更が決まった後に大切なのが、規約をどう残すかです。区分所有法第33条は、規約を管理者が保管するものとし、利害関係人から請求があれば、正当な理由がない限り閲覧を拒めないと定めています。保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません(第4項)。標準管理規約では、理事長が管理者なので(第38条第2項)、第72条が具体的な方法を定めます。まず、区分所有者全員が署名した規約を1通作って規約原本とし(第1項)、理事長が保管して、区分所有者や利害関係人の請求に応じて閲覧させます(第2項)。総会決議で規約が原本から変わったときは、理事長が1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本と変更を決議した総会の議事録に相違ない旨を書いて署名し、保管します(第3項)。コメントは、変更を反映した冊子を別に作って理事長が署名する方法が望ましいとしています(第72条関係②)。区分所有者全員の署名入りの規約が残っていないときは、分譲時の規約案と全員の同意を示す書面、または最初の規約を決めた総会の議事録が原本の役割を果たします(第72条関係①)。

閲覧の対象は規約本体にとどまりません。第72条第4項により、規約原本、変更を決議した総会の議事録、現に有効な規約の内容を書いた書面と、使用細則その他の細則の内容を書いた書面も、請求があれば閲覧させる必要があります。閲覧の日時や場所は理事長が指定でき(第5項)、保管場所は所定の掲示場所に掲示します(第6項)。電磁的方法が使える管理組合では、書面の署名の代わりに電子署名を使った電磁的記録でも作れます(第72条の電磁的方法が利用可能な場合の規定)。規約や使用細則等に定めがなく、法令にも定めがない事項は、総会の決議で決めます(第71条)。以上の手順は標準管理規約の定めです。お住まいのマンションの規約は条番号も内容も違うことがあるので、自分の規約の変更条項と保管条項を確かめてください。

出典:国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント(令和7年10月17日改正)/e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律(令和8年4月1日施行版)

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