泉州しらべver0.91

標準管理規約

ペットの飼育ルール(規約と使用細則の分け方・変更の決議・特別の影響)

標準管理規約の第18条は、対象物件の使用について別に使用細則を定めるとだけ書いています。中身を示しているのはコメントです。コメント第18条関係①は、細則で定める事項の例に動物の飼育を挙げる一方で、専有部分の使い方に関する事項は、その基本を規約で定めるべきだとしています。ペットについては同じく②が、飼育を認めるか認めないかは規約で定めるべき事項で、手続などの細部を使用細則に任せることはできるとしています。つまり、可否と基本は規約に、届出の様式や飼い方の細かい決まりは細則に書く、という二段の組み立てです。認める場合に決めておく項目と、禁止と容認の規定例は「専有部分の用途と貸与」の記事で紹介したので、ここでは書き分けが決議と運用にどう響くかを中心に見ていきます。

書き分けが効いてくるのは、変えるときの決議です。規約と使用細則のどちらも、制定、変更、廃止には総会の決議が要ります(第48条第一号)。そのうえで、特別決議の対象として第47条第3項第一号に挙がっているのは規約の制定、変更、廃止だけです。特別決議は、組合員総数の過半数で議決権総数の過半数を持つ組合員が出席し、出席組合員とその議決権の各4分の3以上の賛成で決めます。使用細則はここに挙がっていないので、議決権総数の過半数が出席した総会で、出席組合員の議決権の過半数による普通決議で変えられます(第47条第1項・第2項)。どちらの案も、総会に出す前に理事会で決議します(第54条第1項第二号)。飼育の可否を規約に置くと、可から不可へ、あるいは不可から可へ切り替えるには特別決議が要り、細則にある頭数や届出の決まりは普通決議で直せることになります。

標準管理規約の特別決議は、区分所有法の定めに沿ったものです。区分所有法第30条第1項は、建物や敷地の管理と使用に関する区分所有者どうしの事項を規約で定めることができるとしており、ペットの飼育の決まりもこれに当たります。第31条第1項前段は、規約の設定、変更、廃止を集会の決議で行うとし、区分所有者(議決権を持たない人を除く)の過半数で議決権の過半数を持つ人が出席し、出席者とその議決権の各4分の3以上の多数で決めると定めています。出席者で数えるこの形は令和8年4月1日施行の改正によるもので、コメント第47条関係④も、出席者による決議が可能になり定足数の定めが設けられた点に留意を求めています。出席の割合は、規約でこれより高く定めることもできます。

飼育を認めていたマンションが禁止へ規約を変える場面では、第31条第1項後段が問題になります。規約の変更が一部の区分所有者の権利に「特別の影響」を及ぼすときは、その人の承諾を得なければならないという定めです。標準管理規約の第47条第9項も同じ趣旨を書き、加えて、その組合員は正当な理由がなければ承諾を拒んではならないとしています。この後半は区分所有法第31条第1項の条文にはなく、標準管理規約が規約の中で置いている定めです。いま犬や猫を飼っている人にとって禁止への変更は暮らしに直接響きますが、それが「特別の影響」に当たるかどうかについて、区分所有法も標準管理規約もコメントも基準や例を示していません。当たる場合は、特別決議の賛成が集まっても、その人の承諾が別に要ります。判断は個別の事情によるので、変更を考える段階で弁護士やマンション管理士に相談しておくのが確実です。

禁止への変更を議題にするときは、まずいまどの住戸で何を飼っているかを把握します。コメント第18条関係②が、飼育を認める場合の決まりの一つに届出や登録による飼育動物の把握を挙げているのは、こうした場面でも役立ちます。次に招集通知です。第43条第1項は会議の目的と議案の要領を示すよう求めており、コメント第43条関係①は、議案の要領を、組合員が賛否を考えられる程度に案を要約したものと説明しています。新旧の条文に加え、いま飼っている動物をどう扱うかといった経過的な扱いを案に含めておけば、組合員が判断しやすくなります。このような経過的な扱いは標準管理規約やコメントの例には出てこないので、置くかどうか、どう書くかは各管理組合で決めることになります。

決まりを守る義務は、区分所有者だけにかかるわけではありません。規約と集会の決議は区分所有者の特定承継人(住戸を買った人など)にも効力を持ち、占有者は建物の使い方について区分所有者と同じ義務を負います(区分所有法第46条、標準管理規約第5条)。コメント第5条関係は、賃借人が占有者に当たるとしています。さらに第19条は、住戸を貸す区分所有者に、借りる人に規約と使用細則を守らせ、契約書にその旨の条項を入れ、誓約書を管理組合に出させるよう求めています。ペットの決まりが細則にしか書かれていなくても、借りる人はそれを守る立場にあり、守らせる責任は貸す区分所有者にあります。

日ごろの運用では、いま有効な細則をだれでも確かめられる状態にしておくことが基本です。第72条第4項は、使用細則の内容を書いた書面も規約原本と同じ手続で閲覧の対象にしており、コメント第72条関係③はその趣旨を明確にしたと説明しています。住戸の売買では、管理情報提供様式の項目例(別添4)に、使用細則等の名称(例の一つがペット飼育細則)、ペットの飼育制限の有無、専有部分の使い方の規制を制定や変更する予定の有無が並んでいます。変更を検討しているあいだは、その予定も買う人に伝わる情報になります。決まりに反する飼い方があったときは、理事長が理事会の決議を経て勧告や指示をすることができ(第67条第1項)、容認の規定例では理事会が飼育禁止を含む措置をとれるとしています。勧告から訴えまでの段取りは「ルール違反への対応」の記事で扱っています。

自分のマンションの規約を確かめるときは、飼育の可否がどこに書かれているかを最初に見てください。細則だけに書かれている場合、コメントの考え方に合わせて規約へ移すこと自体が規約の変更になり、特別決議が要ります。各マンションの規約は標準管理規約どおりとは限らず、条番号や決議の要件が違うこともあるので、変更の案を作る前に該当する条を確かめておくと手戻りが少なくなります。

出典:国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント(令和7年10月17日改正)/e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律(令和8年4月1日施行版)

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