理事会の運営と議事録
標準管理規約(単棟型)第51条では、理事会は理事で構成し、議長は理事長が務めます。職務は三つあり、規約・使用細則等や総会の決議で理事会の権限とされた業務執行の決定、理事の職務の執行の監督、理事長・副理事長・会計担当理事の選任と解任です。コメントは、理事会が業務執行を決めるだけでなく監視・監督の機関でもあることを明確にした規定だと説明しています。理事会で選んだ理事長などは、理事の過半数で役職を解けます。ただし理事としての地位を解くには総会の決議が必要です。標準管理規約はひな形なので、自分のマンションの規約の条番号や中身は異なることがあります。
理事会は理事長が招集します(第52条)。理事長が招集しないときは、一定数の理事の同意を得た理事が招集を請求でき、理事長は速やかに招集しなければなりません。それでも決められた日数のうちに招集の通知が出ないときは、請求した理事が自ら招集できます。同意に必要な理事の割合と日数は「○分の1」「○日」と空欄になっており、各マンションが規約で決めます。招集手続は総会の第43条を準用し、緊急時に通知期間を短くする場合は「理事会の承認」を「理事及び監事の全員の同意」と読み替えます。ただし理事会で別段の定めをすることもできます。
理事会の会議は、WEB会議システム等を使う会議も含めて、理事の半数以上が出席しなければ開けず、議事は出席理事の過半数で決めます(第53条第1項)。コメントでは、WEB会議システム等で参加した理事は定足数の計算で出席理事に含まれると考えられるとし、議決権の行使方法などを規約や細則で定めることも挙げています。また、決議について特別の利害関係がある理事は議決に加われません(同条第3項)。役員が管理組合と取引をするときなどに理事会で重要な事実を開示して承認を受ける第37条の2の利益相反取引の防止と組み合わせて読む規定です。
理事の代理出席について、規約本文には定めがなく、コメントで考え方を示しています。理事は総会で選ばれた人なので、原則として本人が出席して議論し、議決権を行使することが求められます。そのうえで、理事の負担を軽くするために、職務代行者に出席と議決権の行使を委ねる方法も考えられるとしています。認める場合は、そのことと職務代行者になれる人の範囲を規約に明文で定める必要があります。規約例の範囲は、理事の配偶者(事実婚を含む)か一親等の親族で、総会での選任時などに職務代行者の氏名を示して承認を受けます。続柄の証明に戸籍謄本などを使う場合は、提出させずに提示にとどめるのが望ましいとされています。
やむを得ず欠席する理事については、代理出席の代わりに、あらかじめ通知された事項について議決権行使書や意見を書いた書面を出せるようにする方法もコメントに示されています。これも規約に明文で定める必要があります。一方、会議を開かずに書面や電磁的方法だけで決める書面決議は、第54条第1項第五号の事項、つまり専有部分の修繕等(第17条)、区分所有者が行う敷地・共用部分等の保存行為(第21条)、区分所有者が行う窓ガラス等の改良工事(第22条)の承認・不承認に限られます。理事の過半数の承諾があるときに使え(第53条第2項)、申請が多く速く審査する必要があるためと説明されています。
理事会の議決事項は第54条第1項に16項目が並んでいます。決算案・予算案などの総会提出議案、規約改正案、長期修繕計画の案のほか、専有部分の修繕等の承認、管理費等の滞納や規約違反への訴訟その他の法的措置、規約違反者への勧告・指示、理事長などの選任と解任です。区分所有者の所在等の探索や、所在等不明区分所有者を総会の決議から除く請求、所有者不明・管理不全の専有部分の管理命令を裁判所に求める請求も含まれます。災害等で総会を開けない場合の応急的な修繕工事も理事会で決められ、その資金の借入れと修繕積立金の取崩しも理事会で決議できます(同条第2項)。また第55条により、理事会は大規模修繕の修繕委員会のような専門委員会を置き、特定の課題を調べさせて結果の具申を受けられます。理事会の権限を越える事項や費用がかかる場合は、設置に総会の決議が必要です。
理事会の議事録は、総会の議事録の規定(第49条)を準用します(第53条第4項)。議長が作成し、議事の経過の要領と結果を記載して、議長と、議長が指名する理事会に出席した理事2名が署名します(電磁的記録なら電子署名)。理事長は議事録を保管し、組合員や利害関係人から請求があれば閲覧させます。利害関係人は担保権者、差押え債権者、賃借人、組合員から仲介を頼まれた宅地建物取引業者など法律上の利害関係がある人で、親族というだけの人は含まれません。総会と違い、保管場所の掲示の規定は準用から外されています。コメントは、議事録には個人情報が含まれることが多いので、閲覧させるときは発言者などから個人を特定できないよう加工するなどの対応を求めています。理事会で使った資料の保管と閲覧には第49条の2を準用します(第53条第5項)。
- 理事会の職務:業務執行の決定、理事の監督、理事長・副理事長・会計担当理事の選任と解任(第51条)
- 定足数と議決:WEB会議を含め理事の半数以上の出席で成立、出席理事の過半数で議決。特別の利害関係がある理事は議決に加われない(第53条第1項・第3項)
- 代理出席:原則は本人出席。職務代行者を認めるなら範囲を規約に明文で定める(コメント第53条関係①〜④)
- 書面・電磁的方法の決議:専有部分の修繕等の承認・不承認などに限り、理事の過半数の承諾で可能(第53条第2項、第54条第1項第五号)
- 議決事項と専門委員会:16項目の議決事項、災害時の応急的な修繕工事と資金の決議(第54条)、専門委員会の設置(第55条)
- 議事録:第49条を準用。議長と出席理事2名が署名し、理事長が保管・閲覧対応(第53条第4項、コメント第49条関係)
出典:国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント(令和7年10月17日改正)/国土交通省 マンション標準管理規約