バルコニー・専用庭・窓など専用使用部分の使い方
標準管理規約第14条と別表第4は、バルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、1階に面する庭、屋上テラス(まとめて「バルコニー等」)について、特定の区分所有者の専用使用権を定めています。専用使用権とは、敷地や共用部分等の一部を特定の区分所有者が排他的に使える権利です(第2条第八号)。コメントは、バルコニー等は専有部分と一体として扱うのが妥当なので専用使用権を定めた、と理由を説明しています。どこまでが専有部分かという線引きと、修繕費用の分け方は「専有部分と共用部分の範囲」の記事で扱ったので、ここでは日々の使い方と、そのルールの決め方を見ます。各マンションの規約は標準管理規約と条番号や中身が違うことがあるので、自分の規約の該当条と並べて読んでください。
専用使用権は、所有権のように自由に使える権利ではありません。コメントによると、対象が共用部分等の一部なので、それぞれの通常の用法に従って使うこと、管理に必要な範囲で他の人の立入りを受けることがあるといった制限が伴います。第13条も、区分所有者は敷地と共用部分等を通常の用法に従って使うと定めています(区分所有法第13条にも、各共有者は共用部分をその用方に従って使えるとの定めがあります)。管理を行う者が管理に必要な範囲でバルコニー等への立入りを求めたときは、正当な理由がなければ拒めません(第23条第1項、第2項)。
では「通常の用法」の中身はどこに書くのか。標準管理規約は規約本体には書かず、使用細則に任せています。第13条のコメントは、通常の用法の具体的な内容は使用細則で定めるとし、自転車の置き場所を指定する文例を挙げています。第14条のコメントも、工作物の設置の禁止や外観の変更の禁止などは、使用細則で物件ごとに触れるものとしています。物置を置いてよいか、手すりに物を掛けてよいかといった具体的なルールは、標準管理規約には書かれていません。各マンションの使用細則で確かめることになります。使用細則の制定や変更は総会の決議事項です(第48条第一号)。
使用料については、規約本体は1階に面する庭だけを定めています。専用庭の専用使用権者は、別に定めるところにより、管理組合に専用使用料を納めます(第14条第2項)。バルコニーや屋上テラスが全部の住戸に付いていない場合は、別に専用使用料を取る規定を置くこともできる、とコメントにあります。集めた使用料は、その管理に要する費用に充て、残りは修繕積立金として積み立てます(第29条)。別添4の管理情報提供様式の項目例には、売主の組合員が負担する費用として専用庭使用料とルーフバルコニー使用料が並んでいます。中古で住戸を売り買いするときに、使用料の有無と額が確認項目になるということです。
部屋を借りた人も、貸した区分所有者が専用使用権を持つバルコニー等を使えます(第14条第3項)。駐車場の契約が住戸を貸すと効力を失う(第15条第3項)のと違い、バルコニー等の使用は貸しても途切れません。借りた人に規約と使用細則を守らせる義務は区分所有者にあり、賃貸借契約に守る旨の条項を入れ、誓約書を管理組合に出させます(第19条)。バルコニーの使い方を定めた細則も、この誓約の対象に入ります。
バルコニーに手を加える工事の考え方は、別添2「区分所有者が行う工事に対する制限の考え方」の表にあります。表では、窓、玄関、面格子、バルコニーを「共用部分(専用使用権あり)」としてまとめ、管理組合が管理するが区分所有者が専用使用する部分と位置づけています。防ぎたい影響として並ぶのは、美観や防犯、防音の性能の低下、避難等の障害、防水機能の破壊、躯体の損傷です。バルコニーの行は、制限の目的を「バルコニーとしての適正な利用」としています。理事会の承認が要る例は、物品をバルコニーに固定する工事のうち、あらかじめ決めた場所への設置でないもので、エアコン室外機が例示されています。承認の条件は、避難上の支障がないか、防水層や排水に悪影響がないか、躯体にボルトを打ち込まないかの確認です。別添2の前書きは、バルコニーや専用庭への増築工事を、専用使用の範囲を逸脱するとして、具体的に禁止を書く例に挙げています。
窓などの開口部について、別添2は制限の目的を外観の統一と防犯、防音の確保とし、区分所有者の意識を踏まえて必要な場合に限り制限する、と添えています。今と違う部材を使う窓の工事では、色彩、形状、位置と、防犯性や防音性が下がらないかを確かめます。玄関の扉や枠、面格子やルーバーの工事も同じく、色彩、形状、位置と防犯性を確かめます。第22条により、性能を上げる窓や玄関扉の改良は管理組合の計画修繕が原則で、長期修繕計画には計画修繕の対象として窓や玄関扉等の開口部の改良を載せることが求められています(第32条関係コメント)。管理組合がすぐにできず区分所有者が自分で工事する場合について、コメントは、各住戸の開口部は形や材質が大きく違わないので、方法や材質に問題がなければ工事のたびに総会の決議を求めるまでもない、としています。具体的な工事内容や守る事項は細則に定め、申請書と承認書の様式は専有部分の修繕の様式に準じます。
反対に、管理組合の工事が専用使用部分の使い方に大きく響くこともあります。第47条第10項は、総会で共用部分等の変更を特別決議などで決めるとき、それが専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすなら、その専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならないとしています。承諾を求められた組合員は、正当な理由がなければ拒めません。区分所有法第17条第2項にも、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときはその所有者の承諾が要るとの定めがあり、第47条関係コメントはこの規定に留意するよう求めています。どの工事が特別の影響に当たるかは標準管理規約に例示がないので、専用使用部分にかかる計画では、総会の前に当事者と話し合っておくと承諾の手順を進めやすくなります。
- 専用使用権:敷地や共用部分等の一部を特定の区分所有者が排他的に使える権利。バルコニー等は専有部分と一体で扱うため定めた(標準管理規約第2条第八号、第14条・別表第4、同コメント)
- 使い方の制限:通常の用法に従い、管理のための立入りを受ける。工作物の設置や外観変更の禁止は使用細則で物件ごとに定める(第13条、第14条関係コメント、第23条)
- 専用使用料:専用庭は専用使用料を納める。バルコニー等が全戸に付いていなければ使用料の規定も置ける。使用料は管理費用に充て残りを修繕積立金へ(第14条第2項、同コメント、第29条)
- 賃貸:借りた人も貸主のバルコニー等を使える。駐車場使用契約と違い貸しても途切れない(第14条第3項、第15条第3項、第19条)
- 工事の制限:決めた場所以外への室外機などの固定は、避難、防水、躯体への影響を確かめて承認。違う部材の窓や玄関扉は色彩、形状、位置、防犯性などを確認。開口部の改良は長期修繕計画に載せる(別添2、第22条関係コメント、第32条関係コメント)
- 管理組合の工事との関係:共用部分等の変更が専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、その組合員の承諾が要る(第47条第10項、区分所有法第17条第2項)
出典:国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)・同コメント(令和7年10月17日改正。第13条、第14条、第21条〜第23条、第29条、第47条関係、別表第4、別添2、別添4)/e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律(令和8年4月1日施行版)