泉州しらべver0.91

標準管理規約

専有部分と共用部分の範囲

区分所有法は、区分所有権の対象になる建物の部分を「専有部分」とし、それ以外の建物の部分、専有部分に属さない建物の附属物、規約で共用部分とした附属の建物を「共用部分」としています(第2条)。数個の専有部分に通じる廊下や階段室のように、構造上みんなで使う部分は、もともと区分所有権の対象になりません(第4条第1項)。一方、独立して使える部屋や附属の建物は、規約で共用部分にできます。この場合は、その旨を登記しないと第三者に対抗できません(第4条第2項)。法律が決めるのはここまでで、壁のどこまでが住戸かといった細かい線は、各マンションの規約で決めます。

標準管理規約第7条は、専有部分を「住戸番号を付した住戸」とし、境目を次のように決めています。天井・床・壁は、躯体部分を除いた部分が専有部分です。玄関扉は、錠と内部塗装部分だけが専有部分です。窓枠と窓ガラスは専有部分に含めません。コメントは、境界について疑義が生じることが多いので限界を明らかにした、と説明しています。雨戸や網戸があれば、窓枠・窓ガラスと同じ号に加えるとされています。コメントによれば、使い方を制限すべき部分と複数の住戸が使う部分を共用部分にしたもので、外観を構成する部分は外観の変更を、主要構造部は構造の変更を禁じる趣旨です。また、この区分は必ずしも費用の負担関係と連動しない、とも書かれています。

共用部分の範囲は、第8条で別表第2に任せています。別表第2には、エントランスホール、廊下、階段、エレベーター、屋上、屋根、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎部分、バルコニーなど、専有部分に属さない建物の部分が並びます。エレベーター設備、給水・排水設備、消防・防災設備、オートロック設備、宅配ボックス、各種の配線配管などの附属物も共用部分です。管理事務室や集会室、倉庫は、区分所有法上は専有部分にもなり得る部屋ですが、区分所有者共通の利益のために置くものなので、規約で共用部分にしています(別表第2関係コメント)。

バルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、1階に面する庭、屋上テラスは共用部分ですが、第14条で特定の区分所有者に「専用使用権」を認めています。別表第4では、バルコニーと各住戸の玄関扉・窓枠・窓ガラスはその住戸の区分所有者が、庭や屋上テラスは別添図の住戸の区分所有者が使います。庭の専用使用権者は専用使用料を納めます。部屋を借りた人も、そのバルコニー等を使えます。コメントは、専用使用権には通常の用法に従って使うこと、管理のための立入りを受けることなどの制限が伴い、工作物の設置禁止や外観変更の禁止は使用細則で物件ごとに定めるとしています。窓や玄関扉を断熱・防犯のため取り替える工事は第22条が扱い、原則は管理組合の計画修繕です。個人で行う場合の手続きは「専有部分のリフォームと理事長の承認」の記事で扱います。

バルコニー等の管理の負担は第21条第1項で分けています。管理組合がその責任と負担で行うのが原則で、通常の使用に伴う保存行為だけは専用使用権者が行います。コメントは、通常の使用に伴う保存行為の例として、バルコニーの清掃や窓ガラスが割れた時の入替えを挙げています。経年劣化への対応は管理組合の計画修繕ですが、長期修繕計画作成ガイドラインの修繕周期より短い期間で生じ、ほかのバルコニー等より劣化が著しい場合は、特段の事情がない限り専用使用権者の負担とされています。第三者の犯罪行為による破損は管理組合の負担、同居人や賃借人による破損は専用使用権者の負担です。

配管は、第7条第3項と別表第2を組み合わせて読みます。別表第2では、給水管は本管から各住戸のメーターを含む部分まで、雑排水管と汚水管は配管継手と立て管が共用部分です。第7条第3項は、専有部分の専用に使う設備のうち、共用部分の中にある部分以外のものを専有部分としており、コメントは専用かどうかを設備の機能で判断するとしています。第21条第2項は、専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の保存行為等を、共用部分の管理と一体で行う必要があるときは、総会の決議を経て管理組合が行えるとしています。コメントによれば、配管の清掃費用は管理費から出せますが、取替え費用のうち専有部分に係るものは各区分所有者が実費で負担します。共用部分と専有部分の配管を同時に取り替えるなら、長期修繕計画に記載し、修繕積立金から出すことを規約に定め、先に工事をした区分所有者への補償にも気をつける必要があります。

境目のトラブルを防ぐ決まりも規約にあります。区分所有者は、通常の使用に伴う保存行為と、あらかじめ理事長の承認を受けた場合を除き、共用部分の保存行為を自分で行えません(第21条第3項)。ただし、台風で窓ガラスが割れ、雨の吹き込みを防ぐため同じ仕様のガラスに張り替えるような緊急の場合は別です。これに反して行った保存行為の費用は本人の負担になります(同条第5項)。管理を行う者は、必要な範囲で専有部分や専用使用部分への立入りを請求でき、正当な理由なく拒んだ人は、その結果生じた損害を賠償しなければなりません(第23条)。災害や事故で緊急のときは、理事長が自ら立ち入ることもできます。標準管理規約はひな形なので、実際の境目は自分のマンションの規約の第7条と別表で確かめてください。

出典:国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント(令和7年10月17日改正)/e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律(令和8年4月1日施行版)

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