泉州しらべver0.91

標準管理規約

管理組合の書類の保管と閲覧(規約・議事録・帳票・名簿)

標準管理規約では、管理組合の書類の保管は理事長の仕事です。コメント第32条関係⑦は、理事長が保管する書類として、長期修繕計画書、設計図書等、修繕等の履歴情報、組合員名簿と居住者名簿、総会と理事会の議事録、総会と理事会の資料、会計帳簿などの帳票類、規約原本等を挙げています。このうち総会議事録と規約原本は、区分所有法が管理者に保管させているものです(第33条第1項、第42条第5項)。標準管理規約は理事長を区分所有法上の管理者としているので、理事長が保管することになります。会計の帳票類と長期修繕計画書の中身は「管理組合の会計」と「長期修繕計画の作り方と見直し」の記事で扱っているので、ここでは書類全体に共通するきまりを中心に見ていきます。

まず規約そのものです。第72条は、規約を証するため、区分所有者全員が署名した規約を1通作り、これを規約原本とすると定めています。その後に総会の決議で規約を変えたときは、理事長が、いま有効な規約の内容と、それが規約原本と変更を決めた総会の議事録の内容と違わないことを1通の書面に書き、署名して保管します(同条第3項)。コメントは作り方として、変更を反映した冊子を別に作る方法と、原本に変更内容を書いた書面を添える方法を示し、一覧しやすい冊子の方法が望ましいとしています。全員が署名した規約がないマンションでは、分譲時の規約案とそれに全員が同意した書面、または初めて規約を決めた総会の議事録が原本の役割を果たします(コメント第72条関係①)。

次に議事録です。総会の議事録は議長が作り、議事の経過の要領と結果を書いて、議長と、議長が指名した出席組合員2名が署名します(第49条)。区分所有法第42条も、議長が作成し、議長と出席した区分所有者2人が署名すると定めています。理事長は議事録を保管し、保管場所を所定の掲示場所に掲示します。理事会の議事録にも第49条が準用されますが、掲示の規定は準用から外されています(第53条第4項)。議案書や、総会で配った参考資料、提出された議決権行使書や代理権を証する書面などの総会資料も、理事長が保管します(第49条の2・コメント)。理事会の資料も同じ扱いです(第53条第5項)。

閲覧を求められる人と手続は、書類によって違います。規約原本等は、区分所有者か利害関係人が書面で請求すれば閲覧させます(第72条第2項・第4項)。この閲覧の対象には、いま有効な使用細則やその他の細則の内容を書いた書面も含まれます。総会と理事会の議事録は、組合員か利害関係人の書面による請求で閲覧させます(第49条第3項)。総会資料、会計帳簿などの帳票類、長期修繕計画書や設計図書は、組合員か利害関係人が「理由を付した書面」で請求します(第49条の2、第64条第1項・第2項)。組合員名簿と居住者名簿は、請求できるのが組合員に限られ、「相当の理由」を付けた書面が必要です(第31条の2第1項)。利害関係人とは、担保権者、差押え債権者、賃借人、組合員から仲介を頼まれた宅地建物取引業者など法律上の利害関係がある人で、親族というだけの人は含まれません(コメント第49条関係①)。

閲覧に応じるとき、理事長は相当の日時や場所などを指定できます。どの書類の条文にもこの一文が入っています。ただし区分所有法は、規約と集会の議事録について、正当な理由がある場合を除いて閲覧を拒んではならないとしており(第33条第2項、第42条第5項)、保管しなかったときや正当な理由なく閲覧を拒んだときは20万円以下の過料の対象になります(第91条)。一方で、書類には個人情報が多く含まれます。コメントは、議事録を閲覧させるときは発言者や審議内容から個人が特定できないよう加工するなどの対応を求め(第49条関係②)、名簿については、請求の理由からみて不要な項目は開示しないこともできるとしています(第31条の2関係②)。

閲覧の代わりに、必要な情報だけを書いた書面を求められることもあります。第64条第3項は、議事録、総会資料、帳票類、長期修繕計画書などの書類、規約原本等について、組合員か利害関係人が理由を付けた書面で請求すれば、求める情報を書いた書面を交付でき、その費用を相手に負担させられるとしています。コメントは、こうした求めが実際に行われていることを踏まえた規定だとし、対象として大規模修繕工事の実施状況や予定、修繕積立金の積立て状況、ペットや楽器の制限、駐車場の空き状況などを挙げています。範囲と費用は細則で定めておくことが望ましく、住戸を売る組合員から頼まれた宅地建物取引業者向けの様式例(別添4)がその参考になります。コメントは、購入予定者を交付の対象に含めることも考えられるとしつつ、防犯上の懸念もあるので個別の事情を踏まえて検討するよう求めています(コメント第64条関係④⑤)。名簿にも同じしくみがあります(第31条の2第2項)。

電磁的方法を使える管理組合向けの書き方では、各書類を電磁的記録で作って保管でき、閲覧の請求も電磁的方法で受け付けます。電磁的記録の閲覧は、内容を紙か画面に表示したものを保管場所で見てもらう方法で、求めがあれば閲覧に代えて電磁的方法で情報を提供することもできます(第49条第5項)。名簿、総会資料、帳票類、規約原本等の閲覧にもこの規定が準用されます(第31条の2第3項、第49条の2第2項、第64条第4項、第72条第7項)。区分所有法は、規約を電磁的方法で提供するには請求した利害関係人の承諾が要ると定めています(第33条第3項)。電磁的方法を使えない書き方と使える書き方とでは項の番号がずれるので、自分の規約がどちらかを確かめておくと条文を追いやすくなります。

役員が交代するときは、書類がどこにあり、だれが持っているかを引き継ぐことになります。規約と議事録の保管場所は掲示しておくきまりなので(区分所有法第33条第4項、標準管理規約第49条第4項・第72条第6項)、掲示の内容が実態と合っているかを交代の機会に確かめておくとよいでしょう。コメントは、理事長の責任で帳票類や書類がきちんと保管されず作り直すことになった場合、理事長が費用を負担するなどの責任を負うとしています(第64条関係③)。設計図書は、平成13年8月1日の管理適正化法施行前に工事が終わったマンションでは分譲時に交付されていない場合があり(コメント第32条関係⑤)、手元にない図書を確かめておくことも引継ぎの一部です。文書をどれだけの期間残すかは標準管理規約に定めがなく、コメントは文書保存に関する細則を置くことを例に挙げています(第70条関係)。

出典:国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント(令和7年10月17日改正)/e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律(令和8年4月1日施行版)

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