専有部分の用途と貸与(住宅専用・民泊・賃貸・暴力団排除)
標準管理規約第12条第1項は、区分所有者が専有部分(各住戸)を住宅としてだけ使い、ほかの用途に使ってはならないと定めています。コメントによると、住宅として使っているかどうかは、そこが居住者の生活の本拠かどうかで判断し、生活の本拠にふさわしい平穏さが必要です。部屋を借りて住む人などの占有者も、使い方については区分所有者と同じ義務を負います(第5条第2項)。各マンションの規約は、標準管理規約と条番号や書き方が違うことがあります。自分の規約の用途の条文を手元に置いて読んでください。
第12条第2項には、いわゆる民泊の扱いを書きます。対象は、住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)第3条第1項の届出をして営む住宅宿泊事業です。標準管理規約は、これを「使用することができる」とする(ア)と、「使用してはならない」とする(イ)の2通りを並べ、マンションごとに選ぶ形になっています。コメントは、可能か禁止かを規約に明記することが望ましいとしています。旅館業法第3条第1項の簡易宿所の許可を得て行う民泊は、旅館業の営業なので、通常は第1項の住宅の用途に入らないと考えられ、認めたいなら明記するよう勧めています。旅館業法や住宅宿泊事業法に違反した事業は、規約に書くまでもなく禁止です。宿泊料を受けて人を泊める事業に使うことを広く禁じる規定を置くこともありうる、とされています。
可能と禁止の間を選ぶこともできます。コメントは、一定の形の住宅宿泊事業だけを認める場合は規約に明記すべきだとして、二つの規定例を示しています。一つは、事業者自身が同じ建物の中に住んでいる場合に限る「家主居住型」です。もう一つは、事業者が自分の住む部屋で客を泊める場合に限る「家主同居型」で、さらに範囲が狭くなります。新築分譲時の最初の規約などで、可否を使用細則に任せる書き方の例もあります。禁止を選んだ場合は、事業そのものに加えて、その前段階の広告の掲載などの募集や勧誘も禁じる規定を置くことがありうる、とされています。
民泊を認める場合の運用についても、コメントに手当てがあります。住宅宿泊事業法第13条で掲示が求められている標識について、どこに掲げるかなどの扱いを、あらかじめ使用細則で決めておくことが望ましいとされています(第18条関係)。また、管理組合が事業の開始を知っておくとトラブル防止に役立つため、区分所有者が同法の届出をしたら遅滞なく管理組合にも届け出る、という規定を置くことも有効だとしています。宿泊者からの誓約書は、提出の義務を免除すると定めることも考えられます(第19条関係)。いまの規約の第12条を書き換えるのは規約の変更なので、総会の特別決議が必要です(第47条第3項第一号)。
部屋を人に貸す場合の決まりが第19条です。区分所有者は、借りる人に規約と使用細則を守らせなければなりません(第1項)。そのために、賃貸借などの契約に規約と使用細則を守る旨の条項を入れ、借りる人から管理組合あての誓約書を出させます(第2項)。さらに、借りる人に、専有部分を借りた旨の届出を管理組合へ出させます(第3項)。コメントは、規約はもともと占有者にも及ぶが、この条は貸す側の区分所有者に守らせる義務を課したもので、守らせる対象は物件の使い方に関する事項だと説明しています。契約書の条項例には、借主が違反したら貸主が契約を解除できる、という一文があります。貸すと、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失います(第15条第3項)。一方、借りた人は、貸主が専用使用権を持つバルコニー等を使えます(第14条第3項)。
借用の届出は、居住者名簿とつながっています。コメントは、届出事項として、借りた本人の氏名、対象の住戸、電話番号、緊急時の連絡先などを挙げ、借りた人と実際に住んでいる人が違うときは、住んでいる人の情報もつかんでおくことが望ましいとしています。理事長は組合員名簿と居住者名簿を作って保管し(第31条の2第1項)、第19条第3項の届出があれば遅滞なく更新し(同条第3項)、毎年1回以上、内容を確認します(同条第4項)。名簿は個人情報を扱うので、届出の様式に利用目的を書いておくことが考えられる、とコメントにあります。組合員が国内管理人(区分所有法第6条の2)を選んだときは、その氏名や住所などを理事長に届け出ます(第31条の3)。コメントには、国内に住んでいない組合員に選任を義務づける規定例もあります。
暴力団員への貸与を禁止したいマンションのために、第19条の2の規定例があります。区分所有者は、賃貸の契約に三つの条項を入れなければなりません。借主が暴力団員でなく、今後もならないと確約すること、暴力団員と判明したら催告なしに解約できること、区分所有者が解約しないときは管理組合が代わって解約できることです。あわせて、管理組合による解約の代理を認める書面と、借主の確約の誓約書を管理組合に出させます(第2項)。コメントは、代理での解約は総会の決議によるのが望ましいとし、対象を暴力団関係者などへ広げるときは各都道府県の暴力団排除条例を参考にするよう勧めています。暴力団事務所としての使用などを禁じる規定を第12条に加えることも考えられます(第12条関係)。実行にあたっては、警察や暴力追放運動推進センターとの連携が重要だとされています。
専有部分の使い方のうちペットについては、コメントが考え方を示しています(第18条関係)。犬や猫などの飼育を認めるか認めないかは規約で定めるべき事項で、手続などの細部は使用細則に任せられます。認める場合は、動物の種類や数の限定、届出や登録、飼い方と共用部分の使い方、ふん尿の処理、被害への責任、違反者への措置などを定める必要があるとしています。禁止の規定例でも、かごや水槽の中で飼う小鳥や観賞魚などと、身体障害者補助犬は例外にしています。容認の規定例では、苦情があって改善の勧告に従わないとき、理事会が飼育禁止を含む措置を取れるとしています。用途や貸与の決まりに違反があったときの手段は、「ルール違反への対応」の記事で扱っています。
- 住宅専用:専有部分は専ら住宅として使う。生活の本拠かどうかで判断(標準管理規約第12条第1項・同コメント)
- 民泊:住宅宿泊事業を可能とするか禁止するかを規約に明記。家主居住型・家主同居型だけ認める例や、広告などの募集を禁じる例もある(第12条第2項・同コメント)
- 貸与:契約に規約遵守の条項を入れ、借主の誓約書と借用の届出を管理組合に出させる。届出を受けたら名簿を更新(第19条、第31条の2第3項)
- 暴力団排除:契約に確約・無催告解約・管理組合の代理解約の条項を入れ、代理を認める書面と誓約書を出させる規定例(第19条の2)
- 国内管理人:選任したら氏名や住所を理事長に届け出る(第31条の3)
- ペット:飼育を認めるか否かは規約で定め、細部は使用細則に任せられる(第18条関係コメント)