行政と財政 2026/10/24 掲載
8市町のふるさと納税を比べる(令和7年度の受入額と住民税の控除額)
総務省の現況調査(令和8年度実施)で、8市町のふるさと納税の受入額と件数、住民がほかの自治体へ寄附したことによる住民税の控除額を比べました。泉佐野市の受入額は230億円で全国の市区町村で1位、岸和田市と熊取町は控除額が受入額を上回ります。
総務省は毎年「ふるさと納税に関する現況調査」を行い、自治体ごとの受入額と、住民がほかの自治体へ寄附したことで減った住民税の額(控除額)を公表しています。2026年7月31日公表の令和8年度調査では、受入額は令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の決算見込み、控除額は2025年1月〜12月の寄附について令和8年度の課税で適用された額(2026年6月1日時点)です。二つの対象期間は3か月ずれているため、差し引きは目安として扱います。全国の受入額は約1兆3,314億円、約5,963万件でした。
令和7年度の受入額は、泉佐野市が230億3,860万円(135万1,688件)と飛び抜けて多く、泉南市12億8,268万円(9万8,750件)、貝塚市8億2,940万円(2万6,740件)、岸和田市2億5,302万円(5,017件)、岬町1億8,526万円(2,410件)、阪南市1億5,423万円(7,750件)、田尻町9,839万円(2,962件)、熊取町4,969万円(1,175件)と続きます。泉佐野市は全国の市区町村で1位で、8市町の合計258億9,130万円の89%を占めます。1件あたりの平均は泉佐野市が約1万7千円、泉南市が約1万3千円と小口が中心で、岬町は約7万7千円と高めです。
住民がほかの自治体へ寄附すると、その分が翌年度の住民税から控除されます。令和8年度課税の市町村民税の控除額は、岸和田市6億1,727万円(控除を受けた人1万5,408人)、泉佐野市4億947万円(1万199人)、貝塚市2億7,395万円(7,011人)、熊取町1億6,812万円(4,275人)、阪南市1億5,486万円(3,979人)、泉南市1億4,613万円(3,970人)、岬町3,611万円(990人)、田尻町3,429万円(796人)です。このほかに府民税の控除もありますが、こちらは市町ではなく大阪府の減収になります。
受入額から市町村民税の控除額を引くと、泉佐野市は約226億円、泉南市は約11億4千万円、貝塚市は約5億6千万円、岬町は約1億5千万円、田尻町は約6千万円の受け入れ超過です。阪南市はほぼ同額(約60万円の控除超過)で、熊取町は約1億2千万円、岸和田市は約3億6千万円の控除超過でした。ただし、受け入れた寄附がすべて市町の財源になるわけではありません。返礼品の調達と送付、広報、決済、事務にかかった募集費用は、8市町とも受入額の43〜49%です。この費用も差し引くと阪南市は約7,600万円の控除超過に変わり、貝塚市の受け入れ超過は約1億6千万円に縮みます。
平成28年度以降の推移を見ると、各市町の受入額は年度によって大きく動いています。岸和田市は令和2年度の12億3,723万円から5年続けて減り、令和7年度は2億5,302万円でした。熊取町は平成30年度に76億4,043万円、令和4年度に12億6,967万円を受け入れましたが、令和6年度は4,548万円です。岬町は平成29年度の9億9,475万円から、令和元年度〜3年度は毎年1千万円未満に下がりました。泉南市は平成28年度の5,724万円から伸び、令和5年度に11億円を超えています。
泉佐野市の受入額は平成30年度に497億5,291万円まで伸びた後、令和元年度は184億9,692万円、令和2年度は22億4,819万円に下がりました。この間の2019年6月に、総務大臣が対象の自治体を指定する制度が始まっています。総務省が2019年5月14日に公表した指定では、泉佐野市は6月1日以降の対象から外れました。同じ指定で、岸和田市、貝塚市、熊取町、岬町は6月から9月までの4か月間だけの指定、泉南市、阪南市、田尻町は翌年9月までの1年4か月間の指定でした。
最高裁判所は2020年6月30日の判決で泉佐野市に対する不指定の処分を取り消し、その根拠になった総務省告示の規定を違法、無効と判断しました。これを受けて総務大臣は7月3日にこの規定を削除し、泉佐野市を2019年6月1日から2020年9月30日までの期間について指定する通知を出しました。泉佐野市の受入額はその後、令和3年度の113億4,671万円から毎年増え、令和7年度は230億3,860万円に達しています。
要点
- 受入額(令和7年度):泉佐野市230億3,860万円(全国の市区町村で1位)、泉南市12億8,268万円、貝塚市8億2,940万円、岸和田市2億5,302万円、岬町1億8,526万円、阪南市1億5,423万円、田尻町9,839万円、熊取町4,969万円
- 市町村民税の控除額(令和8年度課税):岸和田市6億1,727万円が最も多く、田尻町3,429万円が最も少ない
- 受入額から控除額を引くと、泉佐野市など5市町は受け入れ超過、岸和田市(約3億6千万円)と熊取町(約1億2千万円)は控除超過、阪南市はほぼ同額
- 募集費用(返礼品、送付、広報、決済、事務)は8市町とも受入額の43〜49%(令和7年度)
- 泉佐野市は2019年5月14日の指定で対象外となり、2020年6月30日の最高裁判決で不指定処分が取り消され、7月3日に指定された
出典:総務省 ふるさと納税 関連資料(ふるさと納税に関する現況調査の掲載ページ)/総務省 ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施・2026年7月31日公表、概要PDF)/総務省 各自治体の令和7年度受入額等(Excel)/総務省 各自治体のふるさと納税受入額及び受入件数(平成20年度〜令和7年度、Excel)/総務省 各自治体の令和8年度課税における住民税控除額等(Excel)/総務省 ふるさと納税に係る総務大臣の指定について(2019年5月14日)/総務省 高市総務大臣閣議後記者会見の概要(2020年7月3日)