行政と財政 2026/10/24 掲載
8市町の財政を同じ物差しで比べる(令和6年度決算)
総務省の令和6年度「主要財政指標一覧」と市町村決算カードで、8市町の財政力指数・経常収支比率・実質公債費比率・将来負担比率を並べました。財政力の強い田尻町と、借金の重い岬町の差が目立ちます。
市町村の財政を比べるときは、総務省が毎年公表する「主要財政指標一覧」が使えます。全国の市町村について、同じ年度・同じ定義で数字がそろっているためです。ここでは令和6年度(2024年度)決算の値を使います。財政力指数は、標準的な行政に必要な額(基準財政需要額)に対して税収などの見込み(基準財政収入額)がどれだけあるかを示す数字の3年平均で、1を超えると財源に余裕があることになります。経常収支比率は、毎年入る使い道の決まっていない収入のうち、人件費・扶助費・公債費など毎年出ていく経費に回った割合で、高いほど自由に使えるお金が少ないことを示します。
令和6年度の財政力指数は、田尻町1.28、泉佐野市0.84、泉南市0.67、貝塚市0.63、岸和田市0.61、熊取町0.55、阪南市0.51、岬町0.44の順です。1を超えるのは田尻町だけで、大阪府内の市町村平均0.67、全国の市町村平均0.49と比べても飛び抜けています。田尻町の決算カードを見ると、令和6年度の普通交付税はゼロで、町税41億6,988万円のうち固定資産税が34億1,529万円と8割を超えます。地方税が歳入総額に占める割合も63.5%で、8市町の中で田尻町だけが税収中心の財政になっています。
経常収支比率は、泉佐野市103.0%が最も高く、貝塚市99.1%、熊取町98.5%、泉南市98.2%、阪南市96.6%、岸和田市94.6%、岬町94.5%と続き、田尻町は70.8%です。府内市町村平均は94.2%、全国平均は93.8%です。100%を超える泉佐野市は、毎年決まって入る一般財源だけでは毎年決まって出ていく経費をまかなえていないことになります。前年度(令和5年度)と比べると、泉南市は101.2%から98.2%へ、泉佐野市は104.3%から103.0%へ下がりました。
借金の重さを示すのが実質公債費比率と将来負担比率です。実質公債費比率(3年平均)は岬町11.0%、泉南市8.1%、泉佐野市7.1%、貝塚市5.7%、阪南市4.0%、岸和田市3.8%、熊取町と田尻町が1.7%です。府内平均は1.9%、全国平均は5.6%で、法律の早期健全化基準25%を超える市町はありません。将来負担比率は岬町100.4%、泉南市31.7%、阪南市29.7%、貝塚市12.1%で、ほかの4市町は、充当できる基金などが将来負担額を上回る場合に付く「-」です。岬町は前年度の107.0%から下がりましたが、8市町では突出しています。阪南市は20.2%から29.7%へ上がりました。
決算カードで歳入の中身を見ると、市町の違いがさらにはっきりします。令和6年度の歳入総額に占める普通交付税の割合は、岬町28.2%、熊取町23.4%、阪南市22.9%、岸和田市17.9%、貝塚市17.2%、泉南市14.7%、泉佐野市3.7%、田尻町0%です。泉佐野市は歳入総額902億円のうち寄附金が184億円(20.4%)を占め、交付税の割合が小さくなっています。ふるさと納税による寄附はこの寄附金に入ります。財政力指数が同じくらいの泉南市と貝塚市でも、借金の指標には差があります。
議会の大きさも比べておきます。大阪府選挙管理委員会の「議員・首長の任期満了日」一覧に載っている条例定数は、岸和田市24人、泉佐野市18人、貝塚市17人、泉南市15人、阪南市14人、熊取町14人、岬町12人、田尻町10人です。2025年国勢調査の人口を定数で割ると、議員1人あたりの住民は岸和田市約7,700人、泉佐野市約5,600人、貝塚市約4,600人、泉南市約3,700人、阪南市約3,400人、熊取町約3,000人、岬町約1,100人、田尻町約810人になります。
これらの数字から、8市町の財政は三つの型に分けて読めます。一つは税収が多く借金も少ない田尻町、二つ目は財政力指数は高めでも経常収支比率が100%を超える泉佐野市、三つ目は交付税への依存が大きく、岬町のように借金の指標が高い市町です。ただし、ここで使ったのは1年度分の決算です。指標は年度によって動くため、判断するときは複数年度の推移と、各市町が公表する財政健全化判断比率や財政計画もあわせて見る必要があります。
要点
- 財政力指数(令和6年度):田尻町1.28、泉佐野市0.84、泉南市0.67、貝塚市0.63、岸和田市0.61、熊取町0.55、阪南市0.51、岬町0.44(府内市町村平均0.67・全国0.49)
- 経常収支比率(令和6年度):泉佐野市103.0%が最高、田尻町70.8%が最低(府内市町村平均94.2%)
- 実質公債費比率(令和6年度):岬町11.0%が最高、熊取町・田尻町1.7%が最低。早期健全化基準25%を超える市町はなし
- 将来負担比率(令和6年度):岬町100.4%、泉南市31.7%、阪南市29.7%、貝塚市12.1%。ほか4市町は「-」
- 田尻町は令和6年度の普通交付税ゼロ、町税の8割超が固定資産税(決算カード)
- 議会の条例定数:岸和田市24、泉佐野市18、貝塚市17、泉南市15、阪南市14、熊取町14、岬町12、田尻町10(大阪府選挙管理委員会の一覧・2026年10月確認)
出典:総務省 令和6年度 地方公共団体の主要財政指標一覧(全市町村・都道府県別平均)/総務省 令和5年度 地方公共団体の主要財政指標一覧/総務省 令和6年度 市町村決算カード/総務省 令和6年度 市町村決算カード 大阪府(PDF)/大阪府選挙管理委員会 議員・首長の任期満了日(条例議員定数を含む)