交通 2026/11/03 掲載
交通事故の件数と死傷者を8市町で比べる(大阪の交通白書 令和7年版)
大阪府警察が掲載する「大阪の交通白書(令和7年版)」の市区町村別の表から、岸和田市以南の8市町の令和7年中の人身事故を比べました。人口10万人当たりの件数は8市町で328件と府全体の277件を上回る一方、10年間の減り方は府全体より大きくなっています。高齢者の事故の割合も見ます。
交通事故の多さを市町ごとに比べるには、同じ年、同じ数え方の統計が要ります。大阪府警察のサイトに掲載されている「大阪の交通白書(令和7年版)」には、府内の市区町村ごとに、令和7年(2025年)までの10年分の人身事故件数、死者数、負傷者数が載っています。この記事では、その表から岸和田市以南の8市町を取り出し、2025年10月1日現在の大阪府の推計人口で割って比べました。表は高速道路交通警察隊が受け持つ道路の事故を除いているため、阪和自動車道や関西空港自動車道の上で起きた事故は数字に入っていません。飲酒運転がからむ事故は別の記事で扱ったので、ここでは事故全体の量と、高齢者や自転車がかかわる事故の割合を見ます。人口は、同じ白書の第2編の表と大阪府の年齢別推計人口の表で確かめました。
令和7年中の人身事故件数は、岸和田市643件、泉佐野市414件、貝塚市267件、泉南市175件、阪南市100件、熊取町87件、田尻町33件、岬町24件で、8市町の合計は1,743件でした。負傷者は合計2,036人で、そのうち重傷者は212人です。死者は岸和田市2人、貝塚市3人、泉佐野市2人、阪南市1人の計8人で、熊取町、田尻町、泉南市、岬町は0人でした。この8人は、府全体の市区町村表の死者116人の約7%です。重傷者は岸和田市87人、泉佐野市40人、貝塚市37人、泉南市19人の順に多くなっています。件数の順位は人口の順位とほぼ重なり、人口18万人余りの岸和田市だけで8市町の件数の約37%を占めます。件数のままでは市町の大きさの差を比べているのに近いため、次の段落で人口当たりの値に直します。
人口10万人当たりの件数にすると、順位が入れ替わります。泉佐野市が414.5件で最も多く、田尻町408.8件、岸和田市350.6件、貝塚市334.1件、泉南市309.7件と続き、阪南市210.4件、熊取町204.4件、岬町176.9件が少ない側です。8市町をまとめると328.0件で、府全体の277.4件(市区町村表の合計24,347件を府の推計人口877万7,998人で割った値)より高くなります。ただし分母は住んでいる人の数で、通勤や買い物、観光で外から入ってくる車や人の量は反映されていません。田尻町は人口が8,072人と小さく、件数が数件動くだけで値が大きく変わる点にも注意が要ります。負傷者でも、10万人当たりは田尻町507.9人、泉佐野市486.6人、岸和田市412.7人が多い側です。
10年前と比べると、8市町の件数は大きく減りました。平成28年(2016年)の合計3,068件に対し、令和7年は1,743件で、43.2%の減少です。同じ期間の府全体(市区町村表の合計)は36,842件から24,347件へ33.9%減っており、8市町の減り方のほうが大きくなっています。市町別では、岬町が67件から24件へ64.2%、熊取町が190件から87件へ54.2%減りました。泉佐野市(767件から414件)、貝塚市(479件から267件)、岸和田市(1,129件から643件)も4割以上減っています。泉南市(255件から175件)と阪南市(148件から100件)は3割余りの減少で、8市町の中では減り方が小さい側です。田尻町だけは令和7年が33件で、平成28年と同じ件数でした。
減少が続いていない市もあります。岸和田市は令和5年の505件を底に、令和6年582件、令和7年643件と2年続けて増え、2年間で138件(27.3%)増えました。負傷者も令和5年の597人から令和7年の757人に増えています。泉佐野市、貝塚市、泉南市、阪南市は、令和4年から7年にかけてほぼ横ばいです。泉南市は令和2年の138件を境に増え、令和4年以降は160件台から170件台で推移しています。田尻町も令和3年の19件から令和7年の33件に増えました。死者は1年ごとの数が小さいため、10年分を足して比べます。平成28年から令和7年までの合計は、泉佐野市30人、岸和田市28人、貝塚市18人、泉南市13人、阪南市7人、岬町6人、熊取町5人で、田尻町は10年間0人でした。8市町の合計は107人です。
白書には、高齢者(65歳以上)がかかわった事故の市区町村別の表もあります。件数は高齢者が第1当事者か第2当事者になった事故を数えたもので、高齢者が起こした事故の件数ではありません。令和7年中の8市町の合計は619件で、全件数の35.5%にあたり、府全体の31.4%(7,649件)を上回ります。割合は阪南市42.0%、熊取町41.4%、泉南市38.9%、貝塚市37.1%、岸和田市33.7%、泉佐野市30.9%の順でした。推計人口から求めた65歳以上の割合(2025年10月1日現在、概算)は阪南市35.1%、熊取町と泉南市30.2%、泉佐野市26.3%で、高齢化の進んだ市町ほど割合がおおむね高くなっています。田尻町(15件)と岬町(14件)は件数が少なく、1件で割合が大きく動きます。
自転車がかかわった事故(自転車が第1当事者か第2当事者の事故)は、令和7年中に8市町で438件、全件数の25.1%でした。府全体では8,770件で36.0%を占めており、8市町は自転車のかかわる事故の割合が府全体より低くなっています。市町別では岸和田市が206件、32.0%で最も高く、泉佐野市は68件、16.4%でした。熊取町は27.6%、泉南市は21.1%です。岸和田市の自転車がかかわる事故は令和4年の143件から令和7年の206件へ63件増えており、同じ期間の全件数の増加(514件から643件、129件増)の約半分にあたります。ここまでの数字は事故の起きた場所で数えたもので、道路の交通量や自転車の利用者数で割ったものではないため、道路の危なさを直接表すものではありません。
要点
- 令和7年(2025年)中の人身事故は8市町で1,743件、死者8人、負傷者2,036人(高速道路交通警察隊の管轄道路を除く。重傷者は212人)
- 人口10万人当たりの件数は泉佐野市414.5件、田尻町408.8件が多く、岬町176.9件が最少。8市町の合計では328.0件で、府全体は277.4件
- 平成28年から令和7年の10年で8市町の件数は3,068件から1,743件へ43.2%減り、府全体(市区町村表の合計)の33.9%減より大きく減った
- 岸和田市は令和5年505件から令和7年643件へ2年続けて増加。自転車がかかわる事故も令和4年143件から令和7年206件に増え、全件数の増加129件の約半分を占めた
- 高齢者がかかわった事故は8市町で619件、全件数の35.5%(府全体31.4%)。自転車がかかわった事故は438件、25.1%(府全体36.0%)
- 10年間(平成28年から令和7年)の死者は8市町で計107人。泉佐野市30人、岸和田市28人、貝塚市18人が多く、田尻町は10年間0人だった
出典:大阪府警察 大阪の交通白書(令和7年版)/大阪府警察 大阪の交通白書(令和7年版)第1編 交通事故(市区町村別交通事故発生状況経年推移 9〜11ページ、高齢者事故 48ページ、自転車事故 63ページ)/大阪府警察 大阪の交通白書(令和7年版)第2編 交通関係基礎資料(市区町村別人口、令和7年10月1日現在 97ページ)/大阪府 推計人口(月報)一覧/大阪府 年齢(5歳階級)別推計人口(令和7年10月1日現在)