防災 2026/11/03 掲載
救急と火災の出動件数を8市町で比べる
2025年の救急出動は、岸和田市消防本部13,649件、泉州南消防組合20,219件、貝塚市消防本部5,785件でした。2025年国勢調査の人口1,000人あたりでは田尻町の105.1件が最も多く、熊取町の63.6件が最も少なくなります。
岸和田市以南の8市町の消防は、3つの消防本部に分かれています。岸和田市消防本部と貝塚市消防本部はそれぞれ自分の市だけを受け持ち、泉佐野市、泉南市、阪南市、熊取町、田尻町、岬町の3市3町は、一部事務組合の泉州南消防組合がまとめて受け持ちます。この記事では、3本部が公開している令和7年版の消防年報から、2025年1月から12月の救急の件数、搬送人員、火災の件数を拾い、同じ年で並べました。泉州南消防組合の年報は表を構成市町ごとに分けているので、8市町それぞれの数字が出せます。人口当たりに直すときは、2025年10月1日に行われた令和7年国勢調査の確定値を分母にしました。数字は各本部の年報の表から拾い、割り算はこの記事で行っています。3本部とも、年報を市や組合のサイトにPDFで載せています。
2025年の救急の件数は、岸和田市消防本部が13,649件、泉州南消防組合が20,219件、貝塚市消防本部が5,785件でした。岸和田市と貝塚市の年報は「出場件数」、泉州南消防組合は「出動件数」と書きますが、どちらも救急隊が出た件数を数えた表です。泉州南消防組合の内訳は、泉佐野市7,808件、泉南市4,286件、阪南市3,380件、熊取町2,709件、岬町1,154件、田尻町851件で、組合の外の市へ出た分が31件ありました。この31件を除いて8市町を足すと39,622件になり、1日あたりでは約109件です(組合だけなら約55件)。市町別に多い順に並べると、岸和田市、泉佐野市、貝塚市、泉南市、阪南市、熊取町、岬町、田尻町となり、2025年国勢調査の人口の多い順とまったく同じです。
人口1,000人あたりの件数に直すと、順位が入れ替わります。田尻町105.1件、岬町88.3件、泉佐野市77.9件、泉南市76.4件、岸和田市73.6件、貝塚市73.4件、阪南市71.0件、熊取町63.6件で、8市町全体では74.5件でした(合計件数を8市町の人口531,926人で割った値)。最も多い田尻町は、最も少ない熊取町の1.65倍です。ただし、分母は住んでいる人の数で、件数には通勤や買い物、観光で市町の外から来た人の救急も入ります。外から来る人が多い町ほど、住民1人あたりの値は高く出ます。人口8,098人の田尻町では、数十件の違いでも1,000人あたりの値が数件動きます。熊取町が低い理由は、年報からは分かりません。この表だけで、住民が救急車を呼ぶ頻度の差とは言い切れません。
前の年と比べると、岸和田市消防本部は14,026件から13,649件へ377件減り、泉州南消防組合も20,459件から20,219件へ240件減りました。貝塚市消防本部は5,752件から5,785件へ33件増えています。泉州南消防組合の中では、泉佐野市が331件減った一方、泉南市は245件増えました。年報には過去の推移もあります。岸和田市は2021年の11,222件から2025年までに21.6%増えました。貝塚市は2016年に4,853件、2020年に4,498件で、その後は毎年増えて2025年の5,785件は2020年の1.29倍です。2025年は岸和田市と泉州南消防組合で減りましたが、数年単位では岸和田市も貝塚市も増えています。泉州南消防組合の長い推移は、この記事では確かめていません。
出動の中身を見ると、3本部とも急病が一番多く、泉州南消防組合で68.8%(13,913件)、貝塚市で66.2%(3,832件)、岸和田市で64.7%(8,833件)を占めました。病院などへ運んだ人数は、岸和田市12,107人、泉州南消防組合17,998人、貝塚市5,284人です。泉州南消防組合では、運んだ人のうち入院の要らない軽症が10,409人で57.8%、貝塚市では2,865人で54.2%でした。岸和田市の年報で確かめた表には、程度別の人数が見当たりませんでした。なお、事故の種類の分け方は本部ごとに違い、岸和田市と貝塚市は労働災害や運動競技を別に数え、貝塚市は転院搬送も別の項目にしています。急病以外の割合を3本部で並べると分け方の違いが混ざるため、ここでは比べていません。
運ぶ先にも違いがあります。貝塚市の年報は搬送先を市町別に載せており、2025年の5,284人のうち市内の医療機関へ運んだのは2,478人で、残る2,806人(53.1%)は市外でした。市外で多いのは岸和田市の1,929人、泉佐野市の450人、熊取町の147人です。岸和田市消防本部が市外へ運んだ人数は1,926人で、搬送人員の15.9%にとどまります。現場に着くまでの時間は、岸和田市の年報にだけ区分別の表がありました。通報を受けてから5分以上10分未満が7,894件(57.8%)、10分以上20分未満が5,360件(39.3%)、20分以上が156件で、10分未満を合わせると59.6%です。泉州南消防組合と貝塚市は、確かめたページに同じ表が無く、比べていません。
火災は救急に比べて件数がずっと少なく、年ごとの増減も大きくなります。2025年の火災件数は、岸和田市40件(前年28件)、貝塚市26件(同21件)、泉州南消防組合55件(同51件)でした。貝塚市の26件のうち建物火災は14件です。組合の内訳は泉南市22件、泉佐野市13件、阪南市9件、熊取町5件、岬町5件、田尻町1件です。人口10万人あたりでは、泉南市39.2件、岬町38.2件、貝塚市33.0件、岸和田市21.6件、阪南市18.9件、泉佐野市13.0件、田尻町12.3件、熊取町11.7件の順でした。ただ、泉南市は前年の12件から10件増え、泉佐野市は23件から10件減っています。数件の違いで順位が入れ替わるので、火災の起きやすさを比べるには、数年分を足して見る必要があります。
要点
- 消防は3本部:岸和田市消防本部(岸和田市)、貝塚市消防本部(貝塚市)、泉州南消防組合(泉佐野市・泉南市・阪南市・熊取町・田尻町・岬町)。数字は各本部の令和7年版消防年報(2025年中)
- 2025年の救急件数:泉佐野市7,808、泉南市4,286、阪南市3,380、熊取町2,709、岬町1,154、田尻町851(泉州南消防組合の年報)、岸和田市13,649、貝塚市5,785
- 人口1,000人あたり(2025年国勢調査で割る):田尻町105.1件が最多、熊取町63.6件が最少、8市町全体74.5件。分母に入らない外来者の救急も件数に含まれる
- 急病の割合(2025年):泉州南消防組合68.8%、貝塚市66.2%、岸和田市64.7%
- 貝塚市の搬送5,284人のうち53.1%は市外へ(岸和田市へ1,929人)。岸和田市の市外搬送は1,926人で15.9%。岸和田市は現場到着10分未満が59.6%
- 2025年の火災件数:岸和田市40、貝塚市26、泉南市22、泉佐野市13、阪南市9、熊取町5、岬町5、田尻町1。前年から泉南市は10件増、泉佐野市は10件減
出典:泉州南消防組合 令和7年中の出動件数(2026年1月5日公開)/泉州南消防組合 令和7年版消防年報 警備編(火災・救急、2025年中)/岸和田市消防本部 令和7年版消防年報 救急・救助編(2025年中)/岸和田市消防本部 令和7年版消防年報 火災統計(2025年中)/貝塚市消防本部 令和7年版消防年報 救急・救助(2025年中)/貝塚市消防本部 令和7年版消防年報 火災概況(2025年中)/大阪府 令和7年国勢調査 大阪府の人口及び世帯数(確定値、2025年10月1日現在)/総務省消防庁 消防本部サーチ 泉州南消防組合(構成市町)