人口と暮らし 2026/11/02 掲載
8市町の転入と転出を比べる(住民基本台帳人口移動報告と大阪府推計人口)
2025年の国内の移動で転入超過は岸和田市だけで、8市町の合計は4,811人の転出超過でした。海外との出入りを加えて統計局の式で計算すると泉佐野市は961人の社会増です。大阪府の推計(2023年10月〜2024年9月)では人口減少の大半が自然減でした。
人口の増減は、生まれた人と亡くなった人の差である自然増減と、住所を移した人の出入りによる社会増減の二つに分けられます。社会増減の数え方は統計によって違います。総務省の「住民基本台帳人口移動報告」は、市区町村に出された転入届をもとに、国内のほかの市区町村から移ってきた人(転入者)と、ほかの市区町村へ移った人(転出者)を年ごとに数えています。転入者から転出者を引いた数が転入超過数で、マイナスなら転出超過です。この転入と転出は国内の移動だけを指し、海外との出入りは別の表に分かれています。2025年(1月から12月)の市区町村別の結果は、2026年4月23日にe-Statで公表されました。もう一つの大阪府「大阪府の推計人口」年報は、毎年10月1日現在の人口を出し、1年間の人口の増減から自然増減を引いた残りを社会増減としています。自然増減以外の増減をすべて社会増減に数えるため、海外との出入りも入りますが、期間は前年10月から当年9月までです。二つの統計は期間も範囲も違うため、互いの数字を足したり引いたりすることはできません。
2025年の転入者数は、岸和田市5,300人、泉佐野市4,748人、貝塚市2,324人、泉南市1,567人、阪南市1,277人、熊取町1,098人、田尻町1,051人、岬町320人でした。転出者数は泉佐野市6,225人、岸和田市4,962人、貝塚市3,058人、泉南市2,556人、岬町1,623人、阪南市1,557人、熊取町1,346人、田尻町1,169人です。転入超過になったのは岸和田市(338人)だけで、残る7市町は転出超過でした。転出超過の大きい順に泉佐野市1,477人、岬町1,303人、泉南市989人、貝塚市734人、阪南市280人、熊取町248人、田尻町118人です。岬町は転出者数が転入者数の約5倍あり、2024年10月1日現在の推計人口1万3,778人に対して、国内の移動だけで1年に1,300人を超える差が出ています。8市町の転入超過数を合計するとマイナス4,811人です。8市町どうしの移動は、一方の転入と他方の転出として同じ数が入るので、合計すると打ち消し合います。この合計は、8市町の外との出入りの差し引きを表しています。
同じ統計で2022年から2025年までの4年を並べると、8市町の転入超過数の合計はマイナス2,933人、マイナス3,653人、マイナス4,278人、マイナス4,811人と、毎年転出超過が大きくなっています。市町別に見ると、泉佐野市は2022年に171人、2023年に122人の転入超過でしたが、2024年は785人、2025年は1,477人の転出超過に変わりました。熊取町も2022年の37人の転入超過から、2025年は248人の転出超過になっています。田尻町は2022年から2024年まで12人から35人の転入超過が続いたあと、2025年に118人の転出超過となりました。反対に岸和田市は、2022年から2024年まで180人台の転出超過が続いていたのが、2025年に338人の転入超過へ転じています。岬町は4年とも1,139人から1,413人の転出超過、泉南市は903人から1,214人の転出超過で、この2市町は転出超過が大きい状態が続いています。
転入超過数は日本人と外国人に分けて公表されており、分けて見ると4年間の変化の中身がわかります。8市町の日本人の転入超過数の合計は、2022年マイナス1,867人、2023年マイナス1,416人、2024年マイナス1,857人、2025年マイナス1,735人で、ほぼ横ばいでした。一方、外国人の合計はマイナス1,066人、マイナス2,237人、マイナス2,421人、マイナス3,076人と毎年大きくなっています。このことから、8市町全体で転出超過が広がった分は、主に外国人の国内での転出超過によるものと読み取れます。2025年の外国人の転入超過数は、泉佐野市マイナス1,659人、岬町マイナス1,207人、泉南市マイナス536人、貝塚市マイナス256人で、岸和田市はプラス498人でした。日本人だけで見ると、2025年に転入超過だったのは泉佐野市(182人)だけで、岸和田市はマイナス160人です。このように、岸和田市の全体での転入超過は外国人の転入が、泉佐野市の全体での転出超過は外国人の転出が決めています。
海外との出入りは、国外からの転入者数と国外への転出者数として別の表に載っています。2025年の国外からの転入者数は、泉佐野市2,898人、岬町1,301人、貝塚市957人、泉南市916人、岸和田市777人、阪南市225人、熊取町147人、田尻町111人でした。このうち外国人は泉佐野市で2,807人、岬町で1,289人を占めます。国外への転出者数は岸和田市525人、泉佐野市349人、貝塚市191人などで、岬町は24人にとどまります。外国人について国内の転出者数と並べると、泉佐野市は国外からの転入2,807人に対して国内の他市区町村への転出が2,525人、岬町は1,289人に対して1,255人と、近い数になっています。国外から転入する外国人が多い市町では、国内のほかの市区町村へ移る外国人も多いという形です。ただし、この統計は人数を数えたもので、国外から来た人と国内へ移った人が同じ人かどうかまではわかりません。
統計局は、社会増減を「国内の転入超過数」に「国外からの転入者数から国外への転出者数を引いた数」と「移動前の住所地が不詳の数」を足し、住民票の職権消除などの数を引いたものとしています。この式に2025年の市町別の表の数字を当てはめて計算すると、泉佐野市はプラス961人、岸和田市はプラス572人、貝塚市マイナス25人、岬町マイナス28人、田尻町マイナス69人、阪南市マイナス155人、熊取町マイナス203人、泉南市マイナス228人となり、8市町の合計はプラス825人になります。同じ計算を大阪府全体で行うと5万8,524人となり、統計局が公表している大阪府の社会増加数と一致します。国内の移動だけでは泉佐野市が8市町で最も大きい転出超過でしたが、海外との出入りを加えると最も大きい社会増加に変わります。岬町も国内の転出超過1,303人を国外からの転入超過1,277人がほぼ埋めています。国内の転入超過数だけで地域の社会増減を判断すると、向きを読み違えるおそれがあることがわかります。
自然増減と比べるには、両方を同じ期間で出している大阪府の推計人口年報を使います。令和6年(2023年10月から2024年9月まで)の自然増減は、岸和田市マイナス1,378人、貝塚市マイナス667人、泉佐野市マイナス570人、阪南市マイナス515人、泉南市マイナス394人、熊取町マイナス275人、岬町マイナス216人、田尻町マイナス42人で、8市町すべてが自然減でした。同じ期間の社会増減は、泉佐野市プラス839人、田尻町プラス88人、熊取町プラス2人、岬町マイナス110人、岸和田市マイナス223人、阪南市マイナス229人、貝塚市マイナス280人、泉南市マイナス335人です。8市町の合計は自然増減がマイナス4,057人、社会増減がマイナス248人で、人口が減った分のほとんどは自然減によるものです。人口が増えたのは泉佐野市(269人)と田尻町(46人)の2市町だけで、どちらも社会増が自然減を上回っています。
同じ年報で令和元年から令和6年までの6年間を並べると、8市町の自然増減の合計はマイナス2,340人、マイナス2,496人、マイナス3,053人、マイナス3,516人、マイナス3,947人、マイナス4,057人と、毎年減り幅が大きくなりました。社会増減の合計はマイナス979人、マイナス1,830人、マイナス3,093人、マイナス1,023人、プラス309人、マイナス248人で、年によって大きく動いています。社会減が最も大きかったのは令和3年(2020年10月から2021年9月まで)の3,093人で、令和5年には8市町の合計がプラスになりました。市町別では泉佐野市の振れ幅が大きく、令和3年のマイナス485人から令和5年にプラス928人、令和6年にプラス839人となっています。自然減が6年間で1.7倍に広がったのに対し、社会増減はマイナス3,093人からプラス309人の間で上下しています。8市町の人口減少の主な原因は自然減で、社会増減は年ごとの増減の幅を左右していると読み取れます。
年齢別の転入超過数は、外国人の動きが大きい市町があるため、日本人だけで見ます。2025年の日本人の転入超過数を20歳から24歳で見ると、熊取町マイナス202人、岸和田市マイナス185人、泉南市マイナス166人、貝塚市マイナス163人、阪南市マイナス122人、田尻町マイナス121人、岬町マイナス49人で、泉佐野市だけがプラス74人でした。25歳から29歳では8市町すべてが転出超過です。8市町の日本人の転出超過は、20歳から24歳の合計が934人、25歳から29歳の合計が818人で、あわせて1,752人になります。日本人全体の転出超過1,735人とほぼ同じ人数で、日本人の転出超過は20代に集中していることが読み取れます。一方、0歳から14歳は8市町の合計で88人、65歳以上は142人の転入超過でした。65歳以上では岸和田市の149人、0歳から4歳では熊取町の46人と岸和田市の38人が目立ちます。
2025年の転入者が直前にどこに住んでいたかを見ると、どの市町でも大阪府内のほかの市区町村からの転入が半分を超えます。府内からの割合は岸和田市が67.8%(3,595人、うち大阪市640人、堺市487人)で最も高く、熊取町66.1%、貝塚市63.5%、泉南市60.6%、阪南市60.0%、岬町59.7%、田尻町54.4%と続き、泉佐野市は53.1%でした。府外からの転入では、和歌山県から来た人の割合に差があります。岬町は転入者320人のうち49人(15.3%)、阪南市は1,277人のうち129人(10.1%)、泉南市は1,567人のうち102人(6.5%)が和歌山県からで、泉佐野市4.8%、田尻町3.4%、熊取町3.2%、貝塚市3.1%、岸和田市2.7%を大きく上回ります。府外から来た人の数が多いのは泉佐野市で、兵庫県から314人、和歌山県から229人、東京都から207人が移ってきています。和歌山県に近い南の3市町で、転入者に占める和歌山県からの割合が高いことが読み取れます。
要点
- 2025年の国内の転入超過数:岸和田市+338人、泉佐野市−1,477人、岬町−1,303人、泉南市−989人。8市町合計−4,811人(住民基本台帳人口移動報告)
- 8市町の転入超過数の合計は2022年−2,933人から2025年−4,811人へ拡大。日本人は−1,400〜−1,900人で横ばい、外国人は−1,066人から−3,076人へ
- 国外との出入りを加えた2025年の社会増減(統計局の式による計算値):泉佐野市+961人、岸和田市+572人、泉南市−228人。8市町合計+825人
- 大阪府推計人口 令和6年(2023年10月〜2024年9月):8市町の自然増減−4,057人、社会増減−248人。人口が増えたのは泉佐野市と田尻町だけ
- 2025年の日本人の転出超過は20〜29歳で1,752人(8市町合計)。日本人全体の転出超過1,735人とほぼ同じ
- 2025年の転入者のうち府内からの割合:岸和田市67.8%が最高、泉佐野市53.1%が最低。岬町は15.3%が和歌山県から
出典:総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果/e-Stat 住民基本台帳人口移動報告 年報 2025年(表10、表11-1〜11-3、表1-2 市区町村別・2026年4月23日公表)/e-Stat 住民基本台帳人口移動報告 年報 2024年(表11-3 転入超過数 市区町村別)/e-Stat 住民基本台帳人口移動報告 年報 2023年(表11-3 転入超過数 市区町村別)/e-Stat 住民基本台帳人口移動報告 年報 2022年(表11-3 転入超過数 市区町村別)/大阪府 大阪府の推計人口 令和6年(2024年)年報/大阪府 大阪府の推計人口 令和6年年報 統計表(表4-7 自然増減、表4-8 社会増減)